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川﨑 愛結美さん

HP用 川崎
川﨑 愛結美
工学研究科博士後期課程生命先端工学専攻生物工学コース
実学主義 ~企業の視点から科学する~
副専攻/高度副プログラム

―主専攻での研究内容を教えてください。

川﨑:生命先端工学専攻の生物工学コースでは、いろんな生物を使って研究していまして、特に当研究室では植物にフォーカスし、遺伝学の視点から、その植物がつくっている薬になるような有効成分がどういうふうにつくられているのか研究しています。遺伝子に手を加えてやることで、人工的に、もっと効率よく有効成分をつくりたいな、というのがねらいです。

例えば、漢方のほとんどに使われている甘草の特に重要な成分がありまして、その成分をつくるにはどんな遺伝子やタンパク質が関わっているのかを研究したり、ほかにも、芽に毒がないようなジャガイモをつくろうという研究をしています。

 

 

―研究の成果は出ていますか。

川﨑:実際に甘草のほうについても、ほとんど最後までいっていて、共同研究をしているんですけれども、特に有用と呼ばれている化合物とほとんど同じようなものが工業レベルで今つくれないかという研究段階に入っています。

ジャガイモのほうは、まだ工業生産ではないですが、実際毒のないジャガイモをつくるのには成功している状況です。

 

 

―今、ドクターですが、将来は研究方面に進もうとお考えですか。

川﨑:この副プログラムやEDGEプログラムに参加している過程で、自分はどういうのが好きなのかなというのをあらためて考えて、研究を目的にするんじゃなくて、研究は自分にとって、あくまで手段の一つで、その先の成果を社会に持っていくところが自分のしたいことなんじゃないかなということに気づきました。また、最近は起業にもちょっと興味があるので、研究職しか選択肢がないというふうには、今はあまり考えてはいないですね。

 

 

―、副プログラム受講の動機を教えてください。

川﨑:もともと世の中に役立つものを作りたいという思いがありまして、研究だけではなく、ビジネス寄りの視点にも興味がありました。私が受講した「実学主義」では、実際にビジネスをしている人とお付き合いして、ビジネスを考えてみたり、製品をつくって売ってみたり、そういうことを主にやっているプログラムですので、いい経験ができそうと思って受講しました。

 

 

―受講してみた感想をお聞かせください。

川﨑:「実学」という言葉の通り、すごくリアルな経験ができて楽しかったです。学生同士でワークショップをするだけじゃなくて、企業の方とコラボしているので、もっとその先の市場に近いところにまで踏み込めたのはいい経験でした。それまで漠然としていたビジネスのイメージが、実際にはどういう仕組みのものなのかを経験を通して知ることができましたし、その中で自分には何ができるかを考えることもできてよかったです。

 

 

―受講してみて、良い点や困った点はございますか。

川﨑:良い点は、自分の世界が広がることですね。主専攻の授業だけだったら、絶対知り合わないような人にも知り合えますし、この授業は特に社会人の方が多くて、全然知らない世界を知れました。自分がしている研究を振り返る機会にもなりますし、すごく刺激が多くて、勉強になりました。

また、学生として一人で実験してると、目に見えて結果が出るまですごく時間がかかるんですけど、このプログラムには、社会人の方やビジネスをやっている方もいて、「こういうアイデアがあるんですけど」、みたいに言うと、「あ、じゃあ、やってみようか」と、取りあえずすっと来てくださるのが、絵に描いた餅が本当に餅になって返ってくるようなのが、とても印象的で面白かったですね。人脈もとても拡がって、この1、2年で、こんなに名刺交換をしたんだなというのが実感としてもあります。

困った点は、強いて言うなら、授業は基本的に土日に開講してくれるんですけれども、個人ワークじゃないですけど、平日にも宿題みたいな形でやらないといけない日がどうしてもあって、自分の主専攻の日とかぶったり、研究室の時間が減ったりするところが、ちょっと困りました。

 

 

―主専攻との両立で何か工夫されましたか。

川﨑:私の場合、自分の研究の予定は自分で立てることができるので、その辺は何とかなるように組んでいますし、教授にちゃんと受けるのでということを話して、OKをもらっているというのが、すごく心理的にも安心できています。

 

 

―研究に何か良い影響はありますか。

川﨑:ラボの中だと、お互いにある程度知識があるので、説明しなくてもわかる共通の前提というものができてしまってるんですね。でも副プログラムでは、そういう前提が通じないし、当然、専門用語も通じないので、どういう言葉を使ってどう話せば相手がわかるかなとか、秘密事項としてどの辺は話しちゃいけないとか、そういうことを考えながら話すトレーニングができた点がよかったことの一つです。一般の人たちにわかりやすく説明する能力も、専門家には求められることの一つですので。

また、他にもよかったと思うのが、相手に伝えようと一生懸命考える中で、自分がしている研究を客観的に振り返る機会になったことですね。社会における自分の研究の意義、みたいなのを再確認できました。

 

 

―将来に何か良い影響はありそうですか。

川﨑:起業に興味を持っているので、具体的なやり方を経験できたり、人脈が増えたり、考え方のトレーニングが何回もできたりということが良い経験になりました。実際にやってみると、自分にもできそうだなって。絵に餅が描けるようになったじゃなくて、本当に餅をつくるところまでできるんじゃないかなと思えるようになったところが、すごく大きいですね。

具体的には、サンプラテックさんとコラボして、それぞれアイデアを出して、実際に向こうの会社さんに行ってプレゼンをするんですけれども、幸運にもそこで認めてもらえました。そのアイデアで、今、試作品をつくっている状況です。学内でアイデアを考えただけで終わるんじゃなくて、お話しして、気に入ってもらえたという成功経験ができたのと、実際に動いてもらっているので、市場に出るかもしれないという希望も膨らんでいます。

あとレイ・クリエーションさんと端材からものをつくる授業では、プロの職人さんに加工をお願いして、職人さんとコミュニケーションを取りながら、自分が想像しているものを形にするというプロセスが経験できたのもすごく良かったですし、今後、実際に売れるようにこのまま進めていこうかという話もしています。こんな風に、自分を後押ししてくれるような経験ができたのがすごく大きいですね。

 

 

―副プログラムのおすすめのポイント、もしくは受講を検討されている方へメッセージをお願いします。

川﨑:もし迷っているんだったら、時間的には主専攻とあまり競合しないというか、取りやすいように組んでくださっているので、ぜひ受けてみるべきだと思います。世界観が広がりますし、広がることで自分が今まで思ってきたことが大きい社会の一部だったんだなということを実感できますね。自分の可能性って、まだまだあるんじゃないかなという大きな広がりにも気づくと思います。

自分の将来の仕事についても、こうだと思い込んでいたり、みんながそうしているから、それが普通だと思っていたのが、全然違う視点が入ってくることで、これからの人生が広がっていくと思いますので、是非受けてみるべきだと思います。

 

 ―ありがとうございました。

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